2009/2/22
ホテルニューオオタニと看板があるのに
オーナーはまったく別人の・裏の顔がある偉い人で
ホテルの仕様はインド風とかアラブ風の人が働いている
外観がテントを貼るようなオープンな造りだった
宿泊費は1000円という驚き価格
でもクリーニングや写真やら他のサービスとの抱き合わせで
一泊5980円かかる仕組みになっていて
儲けることは儲けるように計算されている
オーナーはある種の孤独な男なのだけど
孤独を感じさせない雰囲気のある男だった
彼はたくさんの業態を裏で支配してる恐ろしい冷たさのある権力者であり
敵対する者の存在を聞かないほど有力な支配者だった
オーナーは犬をたくさん飼っていて
犬たちは良い匂いを放つほど綺麗にされていた
私もオーナーの犬を可愛がった
飛びついてこないほど
堪能な調教を施しているのだ
犬から得る安心感が心を癒してくれていた
オーナーもまったく同じ心持ちだった
運営を任せるとか色々言われるんだけど
私はそんなことには興味なくて犬の世話に心を紛らわしていた
オーナーの心と通じ合ってる安心感からか
温泉で日々遊びながら暮らしながら
オーナーと一緒にいることの安らぎを楽しんでいた
そこに今日、
かつて友人であった玲子と仲間だったはずの女が、
迷い込むような形相で連れてこられた。
彼女を連れてきたのは一人の男だった。
私はその彼とも信仰が合った。
彼女の思い込みで
常に玲子から悪口を聞かされていたこの男を悪者扱いしたから
男が仕事のために線路の上の電線まで上ってきていたところに
彼女が出くわして、とんでもないことをしたのだ
蟹のようなハサミで男の命綱を断ち切ったのだ
糸にすがる気持ちの糸を断ち切った彼女だった
裏でどれだけのことをやってきたのかと言えば想像に難しくない
玲子がこの男を捨てる時にもこの女の存在が後押ししていた
私はそのことを知っていたが黙っていた
玲子の元恋人である男は当然怒っていて
おまえのやっていることは犯罪だと苦しい情熱を吐いた
彼女を隔離したい意味で連れてきたのだ
処罰を求めるような男ではないから
オーナーに処遇を求めるのだろう
歌舞伎町の交番で喧嘩に巻き込まれた時にも
玲子が呼んだら彼はすぐに駆けつけるような人だった
その時この女がなんらかの感情を心の中に芽生えさせていたらしく
それが奇妙な形に成長していって
玲子の彼への迫害によって
彼女は自分の中に芽生えた何かの感情をすり潰しながら
奇妙な心の業を満たしていた
私はそんな形で連れてこられたある種のかわいそうな生き物のような彼女を見て
この女がオーナーの興味の的になると感じていた
犬たちよりは可愛さが際立つだろうことを直観していた
私と影の権力者である氏との
からっとした夢の空間にあるような仕合せな関係の日々が終るとも直感して
この女が
私とオーナーの関係を引き裂くことを予知した
だが、止められる状況でもなかった。
飼う気満々なのだ
そのことについて氏は寂しさや恥というような低俗な言葉に触れることもなく
犬たちと戯れて温泉に入っていた私に対して
ホテルを一つあげるよ。とさらりとした物言いで
生活に隔たりを作ることで遠慮することを求めてきた
暗黙の会話ができる間柄だった。
分身のような間柄だった私たちの関係ではあるけれど、
愛してやれない私のことをオーナーはよく理解していた。
当然隷属するようなことも媚びることもない。
私は彼の犬たちと同じように安心を与えるだけの存在であることに、
彼は気づいていた。
私の扱いに困っていた一面もある。
奇妙な愛情だった。
愛し合えないまま、からりと乾いた愛がある関係であった。
彼女と恋仲になることをを伝えに来られて、
オーナーの心とは隔たりがないものの、
私は寂しさを感じるようになっていた。
私たちは愛し合えないのだ。
闇の権力者は信仰では満足を得られないのだ。
心の闇を満たす相手を執拗に可愛がることで、
心を満たしていた。
私と権力者の関係は、
恋ではないし、友情に似ていても友情ではない。
オーナーとの間には奇妙な愛情があるけれど、
それが常人には信じられない程の信頼関係となる絆なのだけど、
オーナーの慰めとなるであろう彼女に気を使うために、
私は権力者である氏の気持ちを汲んだ。
私が隷属するように愛を与えてやれないことに対する、
氏の抵抗だとは解っているものの、
隷属を求めることで私を忘れようとする孤独な男に対して、
私は愛情の力の無力さを感じていた。
心にできた寂しさを紛らわすように、
少し実家に寄ってきたら、
駅前で経営されているはずのお店には人の姿がなく、
実家に帰れば侘しさを感じて居た堪れなかった。
全ての事実に対して、
私は譲歩する優しさを捨てる時が来ることを、
予感し始めていた。
調和なのか、闘いなのかは、
調和のとれない相手を見極めることで、
関わることも傷つけることもないで済むのかもしれないが、
低脳に合わせることはない。
無闇に光を照らすことはあるけれど
日陰に暮らす者たちは
暖かみを欲するだけ
問答無用無容赦
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